内縁関係(別名 事実婚)の配偶者にスムーズに遺産を残す方法。
2018/02/13
前回、兄弟姉妹同士が相続人になった場合には遺言を残すのがベターというお話を書きました。
今回は内縁関係、今だと所謂「事実婚」と言われてる関係の場合、どうしたら遺産をスムーズに相手に残してあげられるのかについて書きたいと思います。
結論から言うとやはり「遺言」というお話になります。(特別縁故者制度というのもありますが、要件が色々と細かく定められていたり、相続財産管理人を選任しなければならなかったりと、ハードルは高いのが実際のお話です。)
ただし、遺言をされるにあたってはご注意していただきたいのが、その方式です。遺言には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」とに大きく分かれます(「秘密証書遺言」はこの場合「自筆」に含まれます)。
「自筆」の場合、相続開始後に相続人がその遺言を戸籍藤本一式と一緒に家庭裁判所に「こういう遺言があった」という事実を確認してもらうために検認の申立てをする必要があります(実務ではこの手続を経ないと遺言は使えません)。作るときは簡単なのですが相続開始後の手続が中々込み入っています。そして、注目して欲しいのが「相続人が家庭裁判所に検認の申立てをする」ということです。そうです、「相続人」です。内縁関係は生活を一緒にしていても同じ戸籍に入っていない以上は相続人とはなりません。そうである以上、遺言が存在していても家庭裁判所に検認の申し立てはできません。
そうなりますと検認は相続人に委ねなければなりませんし、最悪な場合は遺言が「なかったこと」にされかねません(今まで触れてませんでしたが「自筆」を検認前に開封すると5万円以下の過料(罰金のようなものですね)に処せられますのでご注意を)。
内縁の配偶者に確実に遺産を残すためにはやはり「公正証書遺言」が確実です。メリットは
1、検認が不要(すぐに手続に入れる)
2、万が一「なかったこと」にされても公証役場に原本がある。
3、遺言を自書する必要がない。
ということです。
お子さんがいない場合だと、前回お話しした兄弟姉妹相続と同様に「遺留分」がありませんから、遺言があるおかげでスムーズに遺産が相手に行くということになります。
あえて婚姻制度を選択しない場合も「デメリットを回避する方法はある」というお話をさせていただきました。